古谷 真人氏に聞く、骨盤改善で身体の隅々まで波及効果カイロプラクティックジャーナル

  古谷 真人氏に聞く、骨盤改善で身体の隅々まで波及効果

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古谷 真人氏に聞く、骨盤改善で身体の隅々まで波及効果

  

カイロジャーナル82号 (2015.2.23発行)より

既存トレーニングに異議

古谷真人氏の新刊『もっと強くなりたきゃこれを読め!! 軸・腱トレーニング編』(科学新聞社刊)(リンクさせる)が1月に発売された。古谷氏は数年間、本紙の連載でそのトレーニングコンセプトを紹介してきている。しかし、セミナー等で古谷氏から直接指導を受けなければ、既存のトレーニングや治療技術と相反するところをどのように理解すべきか悩む面もある。そこで今回は埼玉県草加市の古谷施術院を訪ね、古谷理論について聞いてみた。
ーー古谷先生がトレーニングや治療で一番重要視していることは何ですか。

骨盤の非対称を見極め、それに合った運動をすることです。

仙腸関節の状態には左右差があり、9割以上の人で右が後下方(PI)、左が前上方(AS)にいっています。右利きか左利きか、右脚踏み切りか左脚踏み切りかにも関係なく、ほとんどの人でそうなっています。

このPI、ASのパターンは、どの姿勢でも検査できます。検査方法は私のセミナーでもちろん教えています。とても明確なので、スポーツ選手はもちろんのこと、患者さんにも自分で検査、確認する方法を教えれば自分で確認できるようになります。骨盤の左右非対称を取り除くことで多くの症状が治り、アスリートならばケガの予防やパフォーマンスの向上につながります。

ーー『強くなりたきゃこれを読め!!』は3部作の予定で、現在『ストレッチング編』と『軸・腱トレーニング編』の2作が完成しました。これらの本では、やってはいけないトレーニングについて強調して書かれています。一般的に行われているトレーニングをずいぶん否定していますが、なぜですか。

害になるトレーニングをして身体を壊してしまう選手を何人も見てきました。自分が治療した場合でも、その後のトレーニングの組み合わせが悪くて壊してしまうという選手が何人もいました。目の前で選手がダメになっていくのを見ていられません。何がダメにしているのかがわかっていないのです。だから声を大にして言いたい。「屈曲はまやかしだ」と。「屈曲トレーニングはするな、屈曲位を長く保つな」です。膝を曲げた腹筋は敵、撲滅運動をしたいです。できれば正座もしない方がいい。その理由は、侍従で足関節に負荷を加えて尖足状態をつくってしまうからです。タオルギャザー(足底筋がメインの屈曲運動)も害が大きい。タオルギャザーを実施した後に、お年寄りは転びやすくなります。

ーーなぜ屈曲がダメなんでしょうか。

腰椎前弯を保つことができないからです。腰椎前弯がなければ大腰筋が機能低下し、骨盤、股関節がずれ、パフォーマンス低下とケガの原因になります。伸展位でのトレーニングにより、骨盤を立て、股関節から初動する動作がスムーズにできるようになります。伸展位でのトレーニングをその人の身体に合った順番で上手く組み合わせることにより、短い時間で効果的なウォームアップをすることが可能なのです。私は故郷の和歌山の白浜でコンディショニングの指導をしております。顧問の先生のリクエストに応えてバスケット選手に20分のウォーミングアップで試合に入れるメニューを組んだところ、成績アップにつながっているという例もあります。

伸展能力が身体に備わっていないと運動はできません。屈曲運動の中でも最も悪いののが体幹をひねった腹筋運動です。身体に過剰な負担をかけ、身体の軸をずらしてしまいます。

ーートレーニングと治療に関し、他に重視していることは何でしょうか。

「腱のゆるみを改善する」ことです。筋の伸張効果を得るためには関節を締めるということが一番大切です。それによって関節がずれることなく地面反力を得られ、筋の弾力が推進力に変わります。腱のゆるみを取るということは、同側軸、対角線軸がしっかりし、同側軸の連動、対角線軸の連動、軸の入れ替えがスムーズにできるということにつながっていきます。

膝の痛みを訴えるアスリートは多いですが、その場合ほぼ全員に膝関節のゆるみがあります。膝のゆるみはアスリートとして致命的になりかねないので、ウォーミングアップで膝が締まる方法を行えるように伝えています。

ーー膝を締めるためのトレーニング方法の一つとして、著書で背筋トレーニングを挙げています。ひと言で言うと、どういう理論なのでしょうか。背筋トレーニングでは、ハムストリング、内転筋、外転筋を同時に完全伸展するので膝が締まります。
ーー古谷先生の治療とトレーニングは本を読んだだけで完全に理解するのは難しいかもしれませんが、トレーニング自体は、誰にでも実行できて即変化が感じられるものが多くあります。もっと先生から直接学べる機会をつくるため、科学新聞社も協力して、4月からセミナーを開催する計画をしています。古谷先生の理論と方法に興味のある読者に対し、最後に一言お願いします。

一番強調したいのは、骨盤の異常を改善するということです。私は骨盤からアプローチしていきます。骨盤からアプローチすることで身体の隅々まで波及効果が出ます。最小限で最大限の治療効果を得る方法を考えています。

セミナーでは書籍に沿って、骨盤のPIとASを同時に取れる方法をお伝えしたいと思います。骨盤治療の効果が身体の中に残り、時間の経過とともにより良くなっていく、そのような方法です。骨盤に対する考え方はいろいろで、私の方法を押しつけるわけではありません。骨盤からのアプローチや伸展によって関節を締める方法で、骨格改善の引き出しを増やし、治療とトレーニング処方箋をリンクさせ「なるほどなあ」と実感していただきたいと願っています。より楽しみを持って治療とトレーニング指導の奥深さを追求しようという方々にお会いできれば幸いです。

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