「カイロ意見交換会」開催厚労省の担当官出席
法制化推進へ業界の結束必要
カイロジャーナル84号 (2015.10.21発行)より
カイロプラクティック業協同組合連合会と日本カイロプラクティック協同組合連合会が主催し、日本カイロプラクティック団体協議会(JCCO)の協力により、今年8月、厚生労働省の担当官を招いて「カイロ意見交換会」が実施された。今後のカイロおよび徒手医学の発展と法的枠組みの確立を目指すという掛け声で、業界にとっては久しぶりに他団体の代表者も交えた意見交換会となった。
現状改革めざしコンボも継続
8月20日に東京で行われたこの会合には約20人が出席。大多数が主催の2協同組合連合会とJCCOの会員団体からの出席であったが、日本カイロプラクターズ協会(JAC)、シオカワスクール、その他個人の立場での出席もあった。午前中は、業界内での意見の相違を明らかにし、業界を一つにまとめる方向性をめぐって議論がなされ、業界が目指す法制化の基準をWHOガイドライン・カテゴリーⅠ(A)とすることに全員が合意した。午後は、厚生労働省の担当者が出席し、参加者による業界の現状報告と業界が望む法制化の基準を示し、話し合いが持たれた。
今回の会議で、厚生労働省からの明確な指示や提案はなかったが、意見交換会の第1回開催であり、今後も継続していく意向である。「今後のカイロ法制化の進展には、業界が一つにまとまることが重要」との共通認識をもとに、具体的道筋を見つけるのが課題であろう。
JCCOとは
日本カイロプラクティック団体協議会(JCCO)は、2012年2月に結成された。カイロ業界を代表する組織として「カイロの基礎教育と安全性に関するWHOガイドライン」を基準とした法制化を実現することを目的とする。正会員の資格は、WHOガイドラインを推進、順守する団体と規定されている。
現在、構成団体として、日本DC手技療法協会(DCMTA)、DC連絡協議会(DCLC)、日本ドクターオブカイロプラクティック協会(DCジャパン)、日本カイロ学士会(JCS)、支援団体として、日本カイロ協同組合連合(JFCP)ほか6団体が登録されている。役員は、会長・川西陽三(統合医療推進国民会議カイロ安全普及委員会委員長)、副会長・幾世登(DCLC会長/DCMTA専務理事)、森本直樹(DCジャパン役員)、議長・宮部享典(統合医療推進国民会議代表)、事務局長・山田雄次(JFCP事務局長/JCS事務局長)である。
他団体との関わり
JCCOの目標は、消費者主導による危害防止と業界の改革で、米国のDC教育課程レベルの教育を日本の法制度への適合によって実現することを目指す。国際基準としての「WHOガイドライン・カテゴリーⅠ(A)」を統一基準として推進する。
業界自主規制に関しては、既得権者救済措置や「CSC基準の推進」はダブルスタンダートに陥りやすいとしている。JACが推奨する日本カイロプラクティック登録機構(JCR)による認証制度には賛同していない。
JACはWFCの加盟団体としてこれまで厚生労働省とのパイプをつないできており、現在も変わらないという立場を取っている。一方JCCOはこれまでのパイプをもとに「業界統一窓口の設置」を目指し業界他団体との協力を模索する。この流れが進めば、一つにまとまった業界という印象は薄まるだろう。
JCRの規定に対しては、特定の人々が独自基準をつくって差別化を図り、既成事実化しようとしているという批判がある。JCR側は、まず基準をつくって自主規制を行うという実績がなければ、次のステップにつながって行かないと主張する。ここでも業界が一つになろうという方向性は見出せない。第三者からも認められる客観的な基準をつくり、それを誠実に運用できたときに現状が変化していくのであろう。