いい姿勢でいこう 第24回 腰猫背の弊害と対策2016.02.09
真っすぐ立てなくなる危険 少しでも腰椎前弯の習慣を
カイロジャーナル84号 (2015.10.21発行)より
今回は、猫背の第三弾として「腰猫背」の特徴と対策について考えてみたいと思います。
腰猫背の特徴は、特に座った時に顕著になりやすく、腰椎が頂点になって丸まるタイプの猫背です。座った時に、腰椎の棘突起が両側の背筋より高く盛り上がっていると要注意です。放っておくと、立った時も腰の前弯が維持できなくなります。
腰猫背は、腰椎が頂点になって丸まる
放っておくと立った時も腰の前弯が維持できなくなる
今回書かれている内容をしっかりと理解して対策を実践していただければ、腰猫背によって引き起こされる症状の改善に役立つことと思います。
腰猫背の背景について考えてみましょう。腰椎は生理的に前弯しているべき部分です。ところが、骨盤を後傾させて座ると、必然的に腰椎は後弯することになります。腰猫背は骨盤が後傾することで引き起こされるのです。もしも骨盤が後傾した状態で腰椎の前弯を保ったまま座ろうとすると、そっくり返ってしまい、もはや座るといえなくなってしまいます。そして、その骨盤後傾は圧倒的に座った時に起きるのです。
腰猫背によって引き起こされる代表的な症状としては、腰痛と椎間板ヘルニアです。腰猫背の腰痛の特徴は、腰椎を後弯させて座ることにより、立ち上がる際に前弯への切り替えが上手くいかず、「スッと伸びない」腰になってしまうことです。腰の全体的な重だるさや、張りを感じたりします。腰椎を頂点に、前傾しようとする上体を腰椎周辺の背筋が支え続けなくてはならないことによる筋疲労が原因です。
また、腰椎から出ている自律神経が関係する内臓が影響を受け、生理痛や下痢・便秘など便通の乱れにつながることも珍しくありません。その他に腎臓、膀胱、生殖器などが影響を受ける可能性があります。
さらに腰猫背は、椎間板を後ろに押し出そうとする力が加わることになるので、椎間板ヘルニアを引き起こしやすくなります。これは以前、「椎間板ヘルニア枝豆理論」を使って説明した通りです。
そこで、腰猫背改善・予防の具体的対策を紹介します。前回紹介したロール状に丸めたバスタオルを、腰椎とクロスするように(十字になるように)当てて仰向けになる方法。ただし、あまり下方に置くと、腰椎ではなく骨盤に当たってしまうので注意してください。次に、腕立て伏せの要領で上半身だけ反り起き、腰椎を反らす方法があります。そして何と言っても、骨盤を後傾させずに座る時間を持つことです。はじめは座っている時間全体の100分の1でも結構です。そうすることで徐々に腰椎を前弯させたまま座る習慣を身に付けていくのです。
腰猫背は、放っておくと真っすぐ立てなくなるという怖さを秘めています。気になる人は、少しでも早く、腰椎を後弯させないよう今回の内容を役立ててください。
- 碓田 拓磨D.C.(うすだ たくま)
- 1967年 長野県生まれ
1992年3月 早稲田大学社会科学部卒業
1992年4月 (株)リクルート入社
2001年3月 米国アイオワ州パーマーカイロプラクティック大学卒業
2002年2月 虎ノ門カイロプラクティック院開業
2005年4月 早稲田大学オープンカレッジ「姿勢と健康」講師
2010年 一般社団法人日本姿勢教育協会理事
「健康な人はなぜ姿勢がいいのか」(主婦の友社)
「即効1分間キャットレッチ 肩こり・腰痛 こんなにラクになるなんて(青春出版)
テレビ出演
となりの子育て(NHK教育)
世界一受けたい授業(日本テレビ)
ホンマでっか!?TV(フジテレビ)
あさイチ(NHK)
はなまるマーケット(TBSテレビ)
首都圏ネットワーク(NHK)
あげるテレビ(フジテレビ)