いい姿勢でいこう 第28回 臨床編《1》アジャストメントと姿勢2017.05.16
左腕を上げたとき肩に痛み
良い意識の持続で改善
カイロジャーナル88号 (2017.2.19発行)より
9年間に渡って続けて来た「いい姿勢で行こう」を通して、姿勢の様々な知識を伝えてきました。今回から数回にわたり「いい姿勢で行こう 臨床編」ということで、実際の臨床場面で私がどのようなアドバイスをしたか解説し、その結果どうなったのかを書こうと思います。
皆様の元に訪れる方のために、少しでもお役立ていただけたら幸いです。
症例
2017年1月10日
YKさん50歳
自営業
YKさんの主訴は、左腕を上げた時の肩の痛みです。
痛みが始まったのは、2016年7月。初回来院が10月19日。自己流のストレッチをしていた時に違和感が出て、その後徐々に痛みが増していきました。ストレッチをやれば治ると思って続けていたところ、かえって痛みが増してしまったそうです。
当初、肩の屈曲で約140度、外転で約100度程度上げると痛みが出ていました。趣味の社交ダンスも腕を上げるのが辛く休会。大好きだったゴルフもスイング時の痛みのために、7月以降やっていません。
そんなYKさん、姿勢分析のための写真を撮ると、頭は右に傾き(本人も気付いていた)、左肩が上がっているのがわかります(写真①参照)。その写真と、姿勢習慣のアンケートを照らし合わせ、次のような解説と指導をしました。
- 普段脚を頻繁に組む習慣がある⇒頭の傾きを助長するので控える。
- 荷物を左肩にかけている⇒左肩がさらに上がるので荷物を右肩にかける。
- 頻繁に腕を組む⇒肩が前にくるので注意する。キャットレッチで埋め合わせをする。
- 左側のヒジ掛けに寄りかかることが多い⇒左肩がさらに上がるので左側に寄りかからない。
これらの姿勢習慣の改善が無いと、どんな名医にみてもらっても歪みが再発することを理解してもらいました。 さらに、頭の傾きを改善するために、意識的に頭を左側に傾けるよう指導。通勤時やテレビを見る際など、頭を左に傾けても支障がない場面で実践してもらうようにしました。そのための工夫として、撮影した写真を毎朝必ず目にするところに貼ることをお願いしました。ちなみに、YKさんは寝室のドアに貼って、朝必ず目にしたそうです。
経過
初回来院時と1月10日段階での数値の変化は、表の通りです。姿勢分析写真は、初回来院時写真①②から、写真③④のように変化しました。
正面 写真①と③の比較
H28年10月19日 | H29年1月10日 | |
---|---|---|
眉間位置 | 右に2.1㎝ | 0㎝ |
肩位置 | 右に1.2㎝ | 左に0.9㎝ |
腰位置 | 右に1.1㎝ | 左に0.9㎝ |
耳水平角 | 左上がり6.0度 | 左上がり3.7度 |
肩水平角 | 左上がり4.3度 | 左上がり2.5度 |
腰水平角 | 左上がり1.5度 | 左下がり0.5度 |
側面 写真②と④の比較
耳位置 | 前方に5.1㎝ | 前方に4.1㎝ |
---|---|---|
肩位置 | 前方に3.5㎝ | 前方に1.9㎝ |
腰位置 | 前方に2.5㎝ | 前方に1.9㎝ |
アジャストはC3のPRI、T5のPRS、右のPIと左のASに行いました。当初の状況をペインスケールで10割とすると、2017年1月10日現在2割5分程度までになっています。
姿勢のアドバイスに対し、YKさんが自ら取り組んでくれたことが良い結果に結びつきました。意識を持ち続けるために、寝室のドアに姿勢の写真を貼ったことも成功に大きく貢献したと感じます。3月には、ダンスやゴルフを再開することを目標に、二人三脚で取り組んでいます。
- 碓田 拓磨D.C.(うすだ たくま)
- 1967年 長野県生まれ
1992年3月 早稲田大学社会科学部卒業
1992年4月 (株)リクルート入社
2001年3月 米国アイオワ州パーマーカイロプラクティック大学卒業
2002年2月 虎ノ門カイロプラクティック院開業
2005年4月 早稲田大学オープンカレッジ「姿勢と健康」講師
2010年 一般社団法人日本姿勢教育協会理事
「健康な人はなぜ姿勢がいいのか」(主婦の友社)
「即効1分間キャットレッチ 肩こり・腰痛 こんなにラクになるなんて(青春出版)
テレビ出演
となりの子育て(NHK教育)
世界一受けたい授業(日本テレビ)
ホンマでっか!?TV(フジテレビ)
あさイチ(NHK)
はなまるマーケット(TBSテレビ)
首都圏ネットワーク(NHK)
あげるテレビ(フジテレビ)
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