岡井健【著】「マイ・プラクティス カイロプラクティック 基本テクニック論」を読んで 山﨑徹カイロプラクティックジャーナル

  岡井健【著】「マイ・プラクティス カイロプラクティック 基本テクニック論」を読んで 山﨑徹

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岡井健【著】「マイ・プラクティス カイロプラクティック 基本テクニック論」を読んで 山﨑徹

岡井氏の新刊に感想を寄せる。山﨑氏がセラピーウェイの第1作、岡井健氏著の「マイ・プラクティス カイロプラクティック 基本テクニック論」を購入して帰り、早速その感想を寄せてくれたので、これを紹介させていただく。


近年、カイロプラクティックやオステオパシーの学校は定員割れが続いているという。中には新規募集を止めたり、さらには休校や廃校を余儀なくされたところもあるという。その学校に教科書を提供する出版業界に目も向けてみても全く同じことで、「本が売れない」という現実は医学専門書においても変わらない。業界に関わる人たちにとっては気の滅入る話だが、そんな中で先月出版された、岡井DCの新刊はこうした現状に一石を投じるものだと思う。

また内容も盛りだくさんである。こういった類の本は、ややもするとテクニック論になりがちだ。しかしながらこの本は、テクニックだけに固執せず、単なる技術論を論じているだけではないのである。例えば第一章の「心の在り方」は、カイロプラクターに限らず徒手療法に従事する者にとっては絶対に必要な内容である。カイロプラクティックは哲学、科学、芸術の3つの柱から成り立っているが、その柱の基礎には「心の在り方」が必要不可欠である、と岡井DCは説く。それが無ければ、次に続く「考える力」が生まれてこないのである、と。

車に例えれば、前の車輪は哲学、後ろの車輪は芸術、エンジンは科学、それをコントロールするのが「心の在り方」なのである。アクセルを噴かさないとスピードは出ないし、ブレーキで制御することも必要だ。それを担保するものが心であり、考えられる人間であり、カイロプラクターなのである。

足長検査は多くのテクニックで使われる。例えば、トムソン、アクティベータ、SOTなどであるが、足長検査に重きを置くテクニックであればこそ、検査の重要性が問われるのである。岡井DCは足関節の回内位、回外位との足長検査の関連を指摘する。このような視点は臨床家ならではのものであろう。実践に即した内容である。こうした臨床に直結する内容がふんだんに盛り込まれている。

今ではアジャストメント(HVLA、高速低振幅テクニック)を習える機会は減っている。先に論じた学校の縮小もその一つの要因であろう。そういった状況の中で、この本を出版した価値は大きい。無論、アジャストメントの習得は容易ではないし、独習で習得が可能な技術ではない。面授が必要になるのは言うまでもない。それこそ手取り足取りの教育がなければならないだろう。それでも、努力は必要になる。特筆すべきは、八景と称した8方向からのアジャストメントの様子を撮影したことだ。アジャストメント時の形を全体像として捉えることにより、自分自身のテクニックを岡井DCと見比べることが可能になる。今は安価な撮影器具もある。それらを用いて、自分が行うテクニックを撮影することにより、自分自身を客観視することで自習ができる。

郷里の風習に「遍路」というものがある。四国八十八か所参りと言った方が馴染みがあるか。多くのお遍路さんは杖や笠を持ち遍路旅をする。杖や笠には「同行二人」と書かれており、弘法大師に見守られながら、ともに1200キロの行程を旅するという意味である。アジャストメントの習得も遍路旅のように険しいものだ。岡井DCの本は同行二人のように、初学者からベテランまで見守ってくれると思う。行き詰まったときは「基本に帰る」、これが何よりの特効薬になろう。手元に置いてその効果を実感して欲しい。

カイロプラクティックから治療業界に入る。塩川満章D.C.よりカイロプラクティックの哲学、技術を学び、増田裕D.C.からはカイロプラクティックの科学的側面並びに神経学を学ぶ。他に、中川貴雄D.C.、高見透D.C.、小倉毅D.C.、大場弘D.C.などのセミナーに参加する。

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