【新企画】小児カイロプラクティック・リレー投稿 第一回
この道を選ぶ理由がたくさんあった
山﨑美佳
カイロジャーナル88号 (2017.2.19発行)より
こんにちは。私、山﨑美佳は2015年3月に米国ジョージア州のライフ大学を卒業し、同年8月に帰国、16年1月に東京都港区三田に「きっず&ふぁみりーカイロプラクティック三田」を開院しました。
院名が「きっず」から始まりホームページ記事も小児中心なのは、まだあまり知られていない小児カイロに親しみを持ってほしい、さらにはカイロプラクティックのイメージを痛みのケアよりもっと広がりのあるものに変えていきたいからです。小児専門のオフィスというより、アメリカのどこにでもある「家族で通うオフィス」を目指し、実際に老若男女さまざまな年代の方が来院されています。
私は元々、細胞を遺伝子レベルで解析する研究者でした。将来の展望が描けなくなっていた頃に脚を負傷して手技療法に出逢い、人間の身体についてもっと知りたいとカイロ留学の道を選びました。11年の渡米当時、カイロについてほぼ白紙の私は「子供にカイロなんて必要ないでしょ」と感じる普通の人でした。
それがどうして小児カイロを専門的に学ぶことにしたのか。
幸運なことに、ライフ大学で小児カイロを教えてくださったのはカイロ哲学を熱く魅力的に語るドクターでした。子供の将来を左右することもあるサブラクセーション、それを取り除くことの「意義」、子供があふれるオフィスの「楽しさ」、そして小児には専門知識を持った上でケアを提供するという施術者の「責任」。カイロが国家資格として法制化されている米国ですら「近い将来、小児専門資格がなければ小児ケアはできなくなるだろう」と彼は繰り返し学生たちに伝えました。
次第に小児カイロに惹かれ、改めて考えると私には小児カイロを選ぶ理由がたくさんありました。赤ちゃんや子供が好き。女性の施術家として多くの女性の力になりたい。そのためには女性が宿す子供について相談に乗れる施術家でありたい。治療院があふれる日本で差別化できる。中でも一番の理由は、何でも知りたいという私の「好奇心」でした。これこそ研究職を辞めてカイロ留学した原動力です。
小児カイロの勉強は、ライフ大学の必須科目として心理学系が2つ、施術概論が1つ、選択科目として小児の診断学、応用診断学、応用施術学、行動障害学など4つ取得。学業と平行して、国際小児カイロ協会(ICPA)が提供する小児と妊産婦のカイロケアの週末講義を毎月1回計14回、200時間のプログラムを修了しました。とはいえ在学中の小児ケアの臨床経験は数えるほど、ハイチとドミニカ共和国で行われたミッショントリップに2回参加し、数百名の子供たちにカイロを届けたのは貴重な経験となりました。
子供たちの成長と変化に寄り添う臨床は今まさに積み重ねているところ。長らくの便秘が1回の施術ですっかり解消したり、成長発達がグンと促進したり、母乳を飲めるようになったり、子供たちの驚異的な反応に学ぶことばかりです。そんな嬉しいエピソードを大人の施術中にお話しすると、「子供の頃からこんなケアを受けられるなんて良いですね、恵まれていますね。私が子供の頃に知っていたらなぁ」と良い印象を持ってくださる方ばかり。改めて小児カイロを広く届ける責任を感じます。
施術することは小児カイロプラクターの役割のごく一部と考えています。一番大切なのは「子供は生まれながらにして健康になる力を持っている」というイネイトインテリジェンスの考え方を院内だけでなく院外にもわかりやすく発信していくこと。あふれる育児情報に翻弄され疲れているお母さんたちに出会うと「もっと子供を信じて大丈夫」と伝えたくなります。縁あって定期的な親子カフェ講座を開催する機会をいただいており、親たちが何を求めていて私が何を提供できるのか、生のやり取りを重ねて試行錯誤しながらより良い発信をしていきたいと思います。
「先生お子さんいらっしゃるんですか、赤ちゃんの扱いにとても慣れていらっしゃる」。最近産後数カ月のお母さんからいただいた一番の褒め言葉。開業当初はこわごわ赤ちゃんを抱き上げていた私がこんな賛辞をいただき、新米小児カイロプラクターもちょっぴり成長したかなと嬉しくなりました。
- 山﨑 美佳 D.C., Ph.D.(やまざき・はるか)
- 東京大学農学部応用生命科学課程卒業
- 2015年ライフ大学卒業
- DC、米国ジョージア州開業免許取得
- きっず&ふぁみりーカイロプラクティック三田(東京都港区)を2016年1月開業
- 国際小児カイロプラクティック協会(ICPA)所属
- ライフサイエンス研究者からカイロプラクターに転身、家族みんなの健康ケアを提供する。「産後体型」「免疫力」などをテーマに親子カフェ講座開催中。
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