カイロプラクティック・オフィスだよりfromアトランタ 第8回カイロプラクティックジャーナル

  カイロプラクティック・オフィスだよりfromアトランタ 第8回

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カイロプラクティック・オフィスだよりfromアトランタ 第8回

歩行に問題ある女性
矢島敬朗
カイロジャーナル90号(2017.10.22発行)より

今回は生まれつき骨盤の左右の高さが極端に違うため、歩行に問題が出てしまった十代女性のケースです。初来院は今から7年前、彼女が15歳の時でした。母親に連れられて来た彼女は不自然に右足を引きずるように歩いていました。

胸椎10番から腰椎3番での19度の右側弯がある写真
写真1

早速、問診、姿勢検査に入りました。歩行に問題が出始めたのは3年前位から、とのことでした。検査では、前額面は頭が左に傾き右肩上がりで、骨盤も右に上がっており、足先は左足が内旋、右足は外旋して不安定に骨盤のバランスを保っていました。体重差はなんと左に10キロ以上も片寄っていました(全体重の約2割)。横断面は右肩と右腰が前に歪んでいました。そして、姿勢は頭が前に出て猫背になっていたため、バランスを取ろうとして腰が反っていました。(当時は姿勢測定器がなかったので体重差と視覚で歪みを診ていました)さらに、レントゲン撮影では胸椎10番から腰椎3番での19度の右側弯があり、上部胸椎は軽度の左側弯があるS状の歪みがあることがわかりました。そして、骨盤の高さは右が23ミリ上がっていました。(写真1)これが歩行に問題が起こる原因でした。

彼女の歩行の癖を治すためには、根本の原因の骨盤へのアタックだけではなく、身体全体の歪みを解きほぐす調整をしていきました。私が使うQSM3(Quantum Spinal Mechanics)というテクニックです。頸椎から背骨にかかる前後左右の歪みをリリースして、体の圧迫を除去しつつ、骨盤も調整していきました。15歳の彼女はすでに成長期真っ只中だったので、背骨の成長が止まるまでの2年間が勝負でした。大げさではなく、どこまで歪みを治せるかで今後の健康人生が決まってしまうので、最初の3月間は週1回、その後は2~3週間に1回の頻度で通い続けてもらいました。その間も体を健康に成長させるための食事の指導、また、側弯を矯正するためのストレッチなどを日課として行うようにアドバイスしました。そして、半年ごとにレントゲンを撮り、側弯の角度をチェックしました。2年の間には順調に歪みが改善する時期もあれば、あまり改善が見られない時期もあり、まさしく一進一退でしたが、右側弯の角度は9度まで改善しました。この2年間は、私も必死で効果的な施術の方法や、矯正ストレッチの方法を勉強したものでした。

骨盤の左右差はゼロになった写真
写真2

現在、彼女は、他州で大学に行き、年2回アトランタに帰省してきます。その時は、いつも来院し元気な姿を見せてくれます。現在では歩行に問題もなく、真っ直ぐ背筋が伸びた素敵な女性になりました。先日、3年ぶりに骨盤のレントゲン写真をとりました。結果、骨盤の左右差はゼロになっていました。(写真2)これを見た彼女の母親から「7年前、ここに連れて来て本当に良かった」と言われ、当時は大学を出たばかり、試行錯誤で奮闘していたことを思い出し、私も感無量で涙が出てしまいました。

英語で、治療、施術の事を“Practice(練習)”と言います。まさに、カイロプラクターというのは、患者さんを治療させてもらいながら、自分の治療技術を向上させていくのだと改めて実感しました。

矢島敬朗D.C. (やじま・よしろう)
和泉カイロプラクテイック・アトランタ(米国ジョージア州)院長
1970年東京生まれ
柔道整復師として働いた後渡米し、2009年ライフ大学卒業
上部頸椎調整をメインとしたカイロプラクテイック・ケアを実施する

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