《第6回》フィロソフィー・ナイトに行こう!カイロプラクティックジャーナル

  《第6回》フィロソフィー・ナイトに行こう!

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岡井健DCのI Love Chiropractic ! 《第6回》フィロソフィー・ナイトに行こう!2007.03.12

自分の心をアジャスト!!! 立場越えてつくる輪の中へ
カイロジャーナル58号(2007.3.12発行)より

日本が抱える問題

カイロプラクティック・フィロソフィー・ナイトをご存知だろうか?本紙の読者なら、前号の1面をはじめ何カ所かに書かれていた記事を読まれたことだろう。私はこのようなイベントが、今の日本のカイロプラクティック界にとって、とても必要なものだと思っている。

私はアメリカで長年暮らし、カイロプラクターとして生業を立てて16年になるが、いまだ心は日本人だと思っている。ここ数年、自分なりに外から祖国日本のカイロプラクティック界を見て、いろいろとその在り様を学ばせてもらった。

素晴らしいところもたくさんあるし、まだまだポテンシャルをたくさん持っている。それと同時に、問題点もまたたくさん見えてくる。多くの問題点の原因は法制化されていない、つまり無資格だということと、教育レベルがあまりにも低かったということだろう。だから同じカイロプラクターを名乗る者でも知識や技術、そして倫理観において、ものすごく大きなバラツキがあるということだ。

しかし、近年多くの有志のお陰で国際基準を満たすプログラムを持つ学校も増えて、その並々ならぬご尽力のほどには頭が下がるばかりだ。そして次々と多くの学校が、国際基準というものを意識して変わっていこうとしている、確かな流れが生まれてきたのがわかる。カイロプラクターのレベルがある一定水準を満たしたとき、法制化の道も見えてくるのだろう。

だが、中には「法制化など余計なことだ、国際基準なんてどうでもいい。今のまま自由診療の方がいいんだ」という方が、大勢いるということもわかってきた。なるほど、法制化されて逆に法に縛られたり、すぐに資格を取れない立場にいたりする方にとっては、まことにもって迷惑な話だろう。

どちらが正しいかという話をここでするつもりはない。人それぞれ立場や意見があり、簡単に結論がでるものでもないこともわかっている。いろいろな考えを持った人の集まりが社会だ。この業界に限らず、人間なんて自分勝手なところが多い生き物で、結束するときは共通する敵が現れたときと相場が決まっている。

特別扱いはしない

今まで多くの方がこの業界をよくしようと頑張ってこられた。しかし結果として、それぞれの主義主張がぶつかり合い、かなり仲の悪い団体がひしめき合うことになってしまったことも事実だ。そんな混沌とした中で、私にできることは何だろうと模索しながら、日本でいろいろな講演をしてみて、いろいろな方々と話をしてわかってきたことがある。

それは、どなたも実際に会って話してみると本当にいい人ばかりで、それぞれ一生懸命カイロプラクティックのことを考え、努力しているということだ。ところが、ある部分で意見や考え方が違うがゆえに、相手のすべてを否定してしまい、全く話をしなくなるというところがあるということだ。そればかりか、相手が一生懸命やっているのに、足を引っ張り妨害すらしてしまう。困ったものだ。

そこで私が考えたのは、日本ではあまり利害関係がない立場を活かし、違う学校、違う団体、違うテクニックの方たちを、皆が大切に思っているカイロプラクティックという共通点で、結び付けたいということだった。今のままでは、どんなに頑張ってカイロプラクティックの改革をしようとしても、他の誰かが足を引っ張ったり無視したりするだけだろう。中には改革の内容より、他の団体がやっている、というだけで気に入らないということも多いようだ。自分たちを差し置いて、他でことが進むと臍を曲げてしまうのだ。

フィロソフィー・ナイトでは、いろいろな学校や団体から参加者が集まる。どこの団体も、どんな高名な先生も特別扱いされない。私はたくさんの方に、ぜひフィロソフィー・ナイトに参加して欲しいとお願いするが、無料で招待するようなことはしない。学生でも高名な先生でも同じように来て欲しいとお願いするだけだ。そして、来るからには心から喜んで参加して楽しんで欲しい。斜に構えたひねくれた思いで、否定的な気持ちで参加するぐらいなら、悲しすぎるので来ない方がいい。

素晴らしい仕事

フィロソフィー・ナイトはカイロプラクティックが大好きな人が集まり、純粋にカイロプラクティックの素晴らしさを語り合い、自分たちがどんなに幸せな業界にいるのかを再確認する場なのだ。そして、難しいことは抜きにしてカイロプラクティックが大好きな仲間の大きな輪をつくりたいのだ。違う団体や学校間での交流が盛んになり、ただ学校や団体が違うだけで毛嫌いする人が減っていって欲しいのだ。

現にわれわれの仲間たちはフィロソフィー・ナイトで出会い、お互いを理解し、違う学校、違う団体、違うテクニックの人たちが交流を始めている。フィロソフィー・ナイトの打ち上げでは、敢えて話したことない人たち同士を紹介し合い、仲良く酌み交わすようにしている。皆楽しく時を過ごし、後日一緒に勉強会などをしたりしている人たちもいる。フィロソフィー・ナイトで会わなければ、同じ仕事をしていても、一生接点がなかったかもしれない人たちが喜びを分かち合えるのだ。

参加した人は口々に言う。「ぜひ、またやってください。カイロプラクティックでこんなに感動したことはないです。なんだか元気が出てきました」。小さなグループだけで、わかり合い盛り上がるのもいいだろう。しかし、それをもっと多くの人たちと、カイロプラクティックを愛している仲間たちと分かち合うことで、この業界が乗り越えていかなければならない、さまざまな課題や問題点を克服することができるのではないだろうか。

自分たちのスタンダードに合わない人を切り捨てるより、どうにかスタンダードに見合ってくるように、手を差し伸べ助け合うことが必要なのではないだろうか。そうしなければ、いつまでたっても足の引っ張り合いや、非難中傷が横行する悲しい業界になってしまうだろう。

せっかく、カイロプラクティックという人々を救う素晴らしい仕事に従事しているのだから、もっと楽しく魅力的な業界になって欲しいと願う。患者の背骨をアジャストする前に、われわれ自身の心と考え方をアジャストするべきなのではないだろうか。その第一歩をフィロソフィー・ナイトで踏み出していただきたい。さあ、皆でフィロソフィー・ナイトに行こう!

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