《第7回》若い芽を伸ばそう!カイロプラクティックジャーナル

  《第7回》若い芽を伸ばそう!

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岡井健DCのI Love Chiropractic ! 《第7回》若い芽を伸ばそう!2007.07.19

良きものを学ぶ機会奪うな
カイロジャーナル59号(2007.7.19発行)より

馬場先生と思い共有

この4月に、東京、大阪、福岡と三夜連続でフィロソフィー・ナイトを開催した。各地でたくさんの参加者に出会い、楽しい時間を共有することができたことは本当に嬉しかった。多くの参加者から「感動した」「やる気が出た」などとポジティブなフィードバックをいただくと、膨大な時間を犠牲にして頑張った甲斐があると嬉しくなる。もちろんフィロソフィー・ナイトは生まれたばかりで、これからいろいろと改善していかなければならないこともある。このイベントは皆で育てていくものである。まだまだ未熟だけど、少しずつ成長していけば良いと思う。最初から完璧なものなど、この世に一つとしてない。どうか、おおらかな温かい目でフィロソフィー・ナイトを見守り、また同時に一緒に育ててくれる方が一人でも多く増えることを願っている。

今回、フィロソフィー・ナイトを通じて本当にいろいろな方に出会った。初対面の方も多く、顔と名前が一致しないのが残念だ。私にメールをくれ、励ましや喜びの声を伝えてくださる方も少なくない。そんな新しい出会いの中の一つに、初めて講演を行った福岡の地での馬場先生との出会いもあった。ベテランの叩き上げの先生で、今までの苦労は並大抵ではないと思う。

私のように、環境に恵まれてDCを取ることのできた幸運な人は、日本の業界内のほんの僅かな人たちだ。日本のカイロプラクティック業界を支える大部分の方たちは、十分な教育の機会もなく非常に苦労して勉強されてきたということが良くわかった。ただDCを持っているというだけで、あぐらをかいてはいられないな、ということを強く感じた。また、幸運にも環境に恵まれて勉強することができてDCになれたのだから、業界のため、カイロプラクティックのために頑張る必要があるとそう思ったのだ。

馬場先生と話していて印象に残った言葉の一つに「若い芽を潰しちゃいかん」というものがあった。業界で長く後進の指導に尽力されてきた人の言葉だけに重みがあり、その言葉の裏に隠されているであろう、数々の苦い思いを察することができた。私も馬場先生と同じ思いを持っている。人を活かしたいと思う。潰したり、飼い殺しにしたりしてはいけないのだ。

若者は自らに誇りを

また、正しい心を持って頑張っている若い人を、金儲けの道具に利用したり、学ぶ機会を奪ったりしてはいけないのである。お金を払って学ばなければ、身につかないというのは一理あるし、セミナーで正当な報酬を稼ぐのは全く問題ないと思う。問題は、内容のないものに法外な代価を払わせることがいけないことなのだ。または、短期間であなたもカイロプラクターになれるという類の誇大広告だ。もう、そんなことをしている人はいないかと思ったら、どうやらいまだ健在らしい。そうやって、希望を持った人をだますようなことをしてはいけない。

若者を学校や団体間の軋轢の犠牲にしてはいけない。あそこの団体主催のセミナーに出るなだとか、自分たちの団体以外の集まりに顔を出すなという了見の狭いことを言ってはいけない。良いものを学ぼうとする人の邪魔をすることは、何人たりとも許されるべきではないのである。その人の成長の妨げになるようなセミナーや、それはまだ早いだろうと思えるセミナーを、闇雲に取ることを控えさせるというのは愛情がある。しかし、自分たちのエゴで人の邪魔をすることは止めるべきだ。どうせそのようなことを繰り返していれば、やがて人は離れていくのだから。寛容に、良いものを学びにいくことを薦めるべきなのである。

皆が、これからの若い人たちのことを考えたときに、初めてこの業界の風通しも良くなるのではないだろうか。そうすれば、やがて何が大切かというものが見えてくる人も増えるはずだ。何を学ぶべきか、誰に学ぶべきかということがわかってくる。そうすると本当にカイロプラクティックのことを、業界のことを、そして若者のことを考えている本物の先生だけが生き残っていくのだろう。

そうなれば学ぶ方の若者も騙されたと嘆いたり、自分のだらしなさを他人のせいにすることなく、自分の進むべき道が見えてくるのではないだろうか。世界のどの国のカイロプラクティック大学でも、学校で学べば十分だというところは一校もない。自分自身の知識と腕が勝負の世界で、与えてもらうのを待っているようでは置いてけぼりになるのは当たり前だ。自分から求めて、高めていく志がなければ、遅かれ早かれだめになってしまう。

何が大切か、何を頑張らなければいけないかを見つめて、努力を惜しまないで欲しい。学ぶことに横着になって簡単な道ばかり探さないで欲しい。どんどん挑戦して欲しい。国際基準だろうが何だろうが、勉強して取ってやるぐらいの気概が欲しい。言い訳だらけの人生を送るのか、それとも自分自身に心から誇りに持てる生き方をするかは自分自身の選択なのだ。

元気をもらう温かい場

馬場先生が言われたことで、もう一つ私がいつも感じていることと同じことがあった。どんなに強い意志を持って頑張っていても一人では折れてしまうということだ。人間そんなに強いものではない。誰だって辛いことや悲しいことがあるし、心が弱くなってしまうことがある。私だってそうだ。人一倍弱いほうだ。だけど私には誰よりもたくさんの仲間がいてくれるから、家族がいてくれるから、どうにかこうやって頑張っていけるのだ。だから皆さんにも、どうか志を同じくする良い仲間をたくさんつくって欲しいのだ。今回、九州で馬場先生や岡部先生を始めとする素晴らしい志を持ち、人としても尊敬できる方々に出会えたことは、私にとっては大きな財産なのだ。

フィロソフィー・ナイトは優しい集まりだ。すべてのカイロプラクティック好きを受け入れる。一部の仲良しグループの集まりではない。勇気を持って、どんどん新しい方に参加して欲しい。この日ばかりは団体や学校、テクニック、主義主張の違いは横に置いといて、カイロプラクティックに関する話をして、感動を共有したり、やる気をもらったり、新しい仲間に出会う場なのだ。セミナーや勉強会ではないのだ。私は公には厳しいことも言うけど、普段は人一倍心が広く優しい人間だと思う。少なくとも、私の仲間たちはそう思ってくれているはずだ。人間は辛いこと、悲しいことを乗り越えるたびに優しくなる。でも、同時にやる気のない人を見るとどうしようもなく歯痒くなるのだ。

フィロソフィー・ナイトが、これから頑張るカイロプラクターたちの疲れた心を癒し、元気を与える場となってくれることを願っている。そして、若い芽を元気良く育てる肥やしとなってくれることを願っている。そんな温かい場所が誰にでも必要なのだ。

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