《第8回》ひとつになろうカイロプラクティックジャーナル

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岡井健DCのI Love Chiropractic ! 《第8回》ひとつになろう2007.11.11

年末、皆さんに会いたい!!!!制度やお金を超える何かが
カイロジャーナル60号(2007.11.11発行)より

地道な無償の努力

今年の年末を華々しく飾るために、今までで最大規模のフィロソフィー・ナイトを12月29日の土曜の夜に開催する。日本のカイロプラクターたちがもっと仲良くなってお互いを高めあうようになって、もっと大きな輪で楽しく研究や技術の向上ができるように願っている。そのためにはいろいろな努力が必要だ。

日本には教育環境を整える努力をされている方々がいる。また、さまざまなセミナーや勉強会で、治療技術を磨く場を設けてくださる方々もいる。それぞれ皆さん一生懸命頑張っている。お互い仲良しとは言えないけれど、みんな真剣に頑張っているのがよくわかる。そういった頑張っている人たちが、肩肘を張らずに集まって素直にカイロを語って盛り上がれる場にフィロソフィー・ナイトが成長して欲しいと思う。そのような場をつくり上げていくのが、われわれ仲間の役割だと思っている。

今年で2回目になるパーカー・セミナー・ジャパンでも「One Voice」、一つになろうというテーマを掲げた。パーカー・セミナーは世界で一番大きなカイロプラクティック・イベントだ。そして、その功績はアメリカのカイロ界の仲の悪い団体同士を歩み寄らせたり、学校間の対立を対話へと変えてきたことが大きいのではないかと思っている。規模はパーカー・セミナーの足元にも及ばないが、フィロソフィー・ナイトはわれわれ仲間が手づくりで育て上げてきたものだ。そして仲間の輪を人と人とのつながりを通して広げてきたのだ。いろんな団体や学校を訪問したり、仲間の一人ひとりが友人に声をかけて、フィロソフィー・ナイトのことを伝える。こういった地道な努力を重ねて大きくなってきたのだ。

フィロソフィー・ナイトには、まず予算というものが存在しないので、すべてがボランティアで成り立っている。自慢じゃないがお金は徹底的に使わない。その代わり皆が参加しやすいようにリーズナブルな2,000円という参加費にしている。学生も大先生も同じ参加費をいただく。ボランティアの方も講演者の方も全員同じ参加費を払う。このイベントは金儲けではない。余剰金が出ることがあればプールされ、次のフィロソフィー・ナイトの準備に使われる。このようなイベントを行うと必ず、いくらぐらい儲かっているのだろうか、と余計な心配をしてくださる方がいるが、本当に個人には全くお金は流れていないのでご心配なく。中心になって頑張ってくれている仲間は、大切な時間と労力をボランティアとして無償でフィロソフィー・ナイトに提供してくれているのだ。

危機に対応するには

パーカー・セミナーはフィロソフィー・ナイトと違い、アメリカらしいビジネスライクな面も持ち合わせている。しかし、お金だけではない人と人との結びつきで発展してきたと思う。Drパーカーの意思を受け継いだファブリジオ・マンシーニという人物の人柄が多くの人たちを結びつけ、パーカー・セミナーを発展させたと思う。それと同時に順風満帆だったカイロ業界が保険会社のマネージドケアという締め付けにより、他の医療同様苦境に立たされるようになったという業界事情も、業界内を結びつける大きな要因となった。これは日本の業界でも同様な危機感を持つ時期に来ているということを気づかせてくれる。

近年、日本では柔整の専門学校がその特殊な閉鎖的体質から脱却し、多くの方に門戸を開いた。その結果、それまでカイロ学校に流れていた人々が柔整の学校に行くようになり、カイロ学校はどこも例外なく軒並み学生数が減っている状態だと聞く。資格があり保険適用の対象になる柔整がカイロより魅力があるものとなっている。生活の安定や収入面を心配する人は、どうしても柔整を選択するのだろう。実際は、柔整の方も厳しい保険の点数制度で苦しみ自由診療を羨ましく思うことも多いと思うのだが、学校を選ぶ時点でそんなことまでわかっている人はいない。資格があるか、ないかというのは大きな差があるのだろう。

この状況をみて、このままでは多くのカイロ学校が経営不振に追い込まれることは必至ではないかと心配だ。解決策はいろいろとあるだろう。国際基準や法制化なども重要な解決策なのかも知れない。だけど、それにはあまりにも時間がかかり過ぎる。国際基準を掲げた難しいカリキュラムの学校ほど、これから学生を集めるのが難しくなるはずだ。国際基準化や法制化をただ待っているだけではダメだろう。

より魅力的な職種、業界になるためには資格や保険適用などの制度による利点だけではなく、もっと根本的なやりがいのある仕事、カイロ自体の魅力が大切ということになるのではないだろうか。本当に大切なものは私たちの身近にあると思うのだ。

人と人とのつながり

景気が良いときは誰もが自信にあふれ強気だ。まるで自分の腕一本で世の中の流れまで変えているような錯覚を起こす。しかし、景気が悪くなったり、世の中の状況が自分たちに不利になって苦しい状態になると、その人の底力がよくわかる。どんなに不景気でも、忙しい人、より発展していく人は必ずいる。そういう人に共通しているのは、何かに人より長けたものを持っているということと、魅力的な人ということだ。コミュニケーション能力にも長けて、お金のつながりだけでない人と人とのつながりを築いている。

日本のカイロ界も狭い業界の中で敵対するのではなく、小さな見解の違いは当たり前のことだと我慢して、自己主張ばかりするのではなく協力し合って業界を盛り立てていかないと、自分で自分の首を絞めることになる。いくらライバルを潰しても業界全体が衰退していけば、結局自分にも悪影響が出てくる。井の中の蛙にならないように広い見識と心を持って欲しい。

そのためにも利害関係ではなく、人と人とのつながりで集まるフィロソフィー・ナイトに参加することから始めてみてはどうだろう。すべてのカイロプラクターが心と視野を広げ、エゴを捨て去り一つにならないといけない時期に来ているのではないだろうか。一人でも多くの方に年末お会いできることを楽しみにしている。

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