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カイロジャーナル68号

68号(10.6.24発行)
カイロの普及訴え
新渡英夫氏 国民新党から参院選に出馬
ダンブロジオ氏が来日


カイロの普及訴え
国会常任委で赤松議員「腰痛に効果あり」
厚労省は消極姿勢崩さず国会の常任委員会で5月17日、公明党の赤松正雄氏(比例近畿ブロック)が、カイロプラクティックについて「厚生労働省の慎重な対応を見直し普及を図るべき」との意見を述べた。カイロに関する発言が国会で取り上げられたのは実に5年ぶり。カイロプラクティック普及のための足がかりになることを期待したい。発言の場は、衆議院常任委員会の決算行政監視委員会第3部会。厚生労働省、農林水産省および経済産業省所管の分科会である。赤松氏は「38年来の腰痛がカイロプラクティックで治った」ことを述べ、「手前みそだと思われるかもしれませんが、そういう声はたいへん多い」と、小泉純一郎元首相が愛用していたとの例も挙げて、カイロが有効であることを述べた。「先発のもの、鍼灸、柔道整復、あんまなどは囲われたところに入っているわけだが、世界的に見ると決して後発ではないが、日本における後発であるカイロなどは、非常に後ろに置かれてしまっている状態がある」と指摘し、それを乗り越えていくためとして、発表から20年近く経つ「三浦レポート」の検証を提案した。三浦レポートとは、1991年に旧厚生省から発表された「脊椎原性疾患に関する医学的研究」(主任研究者=故三浦幸雄医師)で、カイロの有効性と危険性を文献調査と体験・見学で研究したとされる。結論として、カイロの臨床研究は、客観性、再現性を持った科学評価がなされていないとし、禁忌対象疾患の認識と危険な手技の禁止などが提言された。赤松氏の発言に対し、足立大臣政務官は、禁忌症があるということがポイントとなるとし、「慎重な検討が必要」「国民の健康被害を起こしてはならないというのが厚労省の立場」と述べた。また、三浦レポートの検証は難しいが、「安全性と有効性を検証していかなければならないだろうと思う」と述べた。長妻厚労大臣は「やはり有効性と安全性が大事」「関係団体等において研究を自主的に進めていただくことも一つの手段ではないか」と述べた。赤松氏は、厚労省副大臣時代に、日本カイロプラクターズ協会(JAC)の訪問を受け、試しにカイロの施術を受けたところ、長年の腰痛から解放された。その後は東京カレッジ・オブ・カイロプラクティックの卒業式に来賓として出席したり、周りの人にカイロを勧めるなど、カイロ界にとっては貴重な支援者となっている。本紙の取材に対し、今後もカイロについて国会で取り上げ、厚労省に見直しを検討させるべく働きかけたいと語ってくれた。

新渡英夫氏 国民新党から参院選に出馬
カイロの保険適用目指す元東京都議会議員(平成5~9年)で、日本カイロプラクティックドクター専門学院(JCDC)、カイロプラクティック療法振興事業協同組合(カ療協)の理事長、新渡英夫(あらと・ひでお)氏が、来月11日に行われる参議院議員選挙に、国民新党(亀井静香代表)の公認を受け、立候補することが、このほどわかった。新渡氏は主に次の3つの政策提言を掲げ、選挙戦に挑む。
1.カイロプラクティック療法および代替医療の法整備を進め、保険治療の適用を目指す
2.中小企業に対する投資減税制度を創設し、我が国の産業、雇用を支える中小企業全体の活性化を図る
3.生活の基盤でもある医療・介護・年金分野をしっかりと守り、経済を含め、わが国の成熟した次なる成長につなげる
の3つである。1.が最も本紙読者の関心のあるところだが、果たして投・開票日にどのような結果が出るか、大いに気になるところである。

ダンブロジオ氏が来日
FRT PRT MET
精力的に3つのセミナー理学療法士にしてオステオパス、鍼灸師でもあり、多彩な治療家であるケリー・ダンブロジオ氏が、この春3月、4月、5月と3度来日し、膜リリース・テクニック(FRT)、ポジショナル・リリース・セラピー(PRT)、筋エネルギー・テクニック(MET)と、3つのセミナーを行った。ダンブロジオ氏は、独自でセミナー・シリーズを構築し、米国内を始め世界でセミナーを開催している。日本では、PRT、FRT、MET、トータル・ボディ・バランシング(TBB)と多くのセミナーを開催してきた。セミナーのリピーターも多く、フレンドリーな雰囲気の中での開催となった。FRTは、4回シリーズの2回目。ほとんどが第1回(昨年11月に実施)の参加者で、この数カ月間の臨床で使用してみた結果出てきた疑問点の質問も出るなど、シリーズ・セミナー独特の活気があった。第3回は11月、第4回は来年3月に開催予定である。PRTは、今回は下半身編で、腰部、骨盤部、下肢のテクニックを行った。PRTは試しやすいテクニックだが、正確な診断とポジション取りができるかどうかで、テクニックの質が全く変わってしまう。参加者を使ってのデモンストレーションでは、1点の治療だけで症状を大きく改善させ、PRTテクニックの可能性を印象づけるものとなった。次回は上半身編で、11月開催予定である。METは全身の関節を扱うので多くシリーズがあるが、今回は脊椎編で、腰椎、胸椎、頸椎をカバーした。METの位置診断は、カイロプラクティックのリスティングに当たるが、考え方や命名方法がカイロとは違うので、慣れるのには時間がかかる。ダンブロジオ氏によると、近年米国のカイロプラクターもMETを学ぶ人が増えており、習得のために繰り返し参加する人が多いという。今回の来日では、PRTの診断と治療のビデオ撮りも行った。ダンブロジオ氏のテクニックの教材として、日本のみならず海外でも販売予定である。本と合わせて使うことで、テクニック向上に大いに役立つと期待できる。忙しい日程の合間をぬって、ダンブロジオ氏待望の相撲観戦もした。学生時代、プロのフットボール選手を目指していたことを思い出してか、「相撲レスラーになってもよかったな」と土俵上の力士がうらやましそうであった。両国国技館のマス席での相撲観戦は印象深い思い出となったようだ。科学新聞社では、今後もダンブロジオ氏のセミナー・シリーズの開催とDVDの制作を通じて、氏のオステオパシー・ワールドを紹介していく予定である。

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