《第26回》目指せ、東京オリンピック!カイロプラクティックジャーナル

  《第26回》目指せ、東京オリンピック!

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岡井健DCのI Love Chiropractic ! 《第26回》目指せ、東京オリンピック!2013.10.25

目指せ、東京オリンピック!
カイロジャーナル78号 (2013.10.25発行)より

変革の波到来、活躍の機会は7年後

今年の日本の夏は本当に厳しい暑さだったようですね。きっと秋の訪れを皆さん心待ちにしていたことでしょう。気候も良く食べ物も美味しい秋は、カイロプラクティック界でも各種イベントやセミナーなど、目白押しなのではないでしょうか。

私も先月の終わりに東京で恒例のマイプラクティスのセミナーを行ってきました。このセミナーではテクニック的なものの指導ではなく、クリニックの経営や患者のマネジメント、自己啓発や夢実現などについて、カイロプラクターの立場から倫理的に精一杯お話しさせていただいています。テクニックをカバーしないといっても、考え方やマネジメントが良くなれば治療効果が上がることは間違いありません。下手なテクニック・セミナーを受けるより、よほど治療が上手くなるはずです。またカイロプラクターだけでなく、治療院のスタッフ教育にも最適ですし、奥さんやご主人を連れてくれば家族の協力もぐっと増して治療院も大きく発展するはずです。

今回のマイプラクティス5では、今まで考えたこともなかったビジョンを得て、自分の可能性を再発見できた方も多かったのではないでしょうか。きっと希望で心が一杯になったことでしょう。患者さんの治療にも一層気合が入るはずです。

幸せな人増やしたい

私がこのシリーズ・セミナーを始めたのには理由があります。それは、日本のカイロプラクターの方たちを見ていると、テクニックセミナーには非常に熱心に参加するし、勉強もよくされているようですが、残念ながら治療院が盛業と呼べる方の数はそれほど多くないように感じられたからです。それではせっかくのテクニックや知識を十分に発揮するチャンスがありません。

私のカイロプラクターとしての大きな目的は世の中をカイロによって健康にするということです。そのためには、多くの方たちに健康の大切さやカイロができることを知っていただき、実際にカイロで健康管理をしていただかなければなりません。その大きな目的のためには努力を惜しみません。小手先の経営理論やマネジメントではなく、大きなカイロプラクターとしての情熱と目的を持っていないと、絶対に幸せなカイロプラクターになれません。私は幸せなカイロプラクターを増やしたいと思ったのです。

残念ながら、今の日本でカイロプラクターを職業として選択しようという方の数は極めて少ないと聞いています。カイロ学校では近年入学者数が軒並み減少している状況だと聞いています。国内カイロ教育の最高峰である学校でさえ、存続を危ぶまれるような人数だと聞いています。これは柔道整復(柔整)の学校がたくさんでき、多くの学生を受け入れるようになったことも大きな原因だったのでしょう。やはり日本では国家資格として正式に認められた柔整に安定を求めるのは、今の世相では当然のことなのでしょう。どうせ高いお金を出して学校に行くのなら、国家資格のほうがいいに決まっていると判断する人が圧倒的に多いわけです。

そして、カイロがやりたければ卒業後、または在学中にカイロのコースを取ればいいと思うのでしょう。要するにカイロには資格がないのだから、専門の学校に行くほどのことをしなくても学べるという考えに至るのです。そんな甘い考えでは実際にカイロを本格的に習得することなど無理な話ですが、学校を選択する時点でどれだけの人がそのような判断ができることでしょう。きっと頑張れば大丈夫ぐらいに考えるはずです。

日本の残念な現状

このことによって起こり得る現象は、2年生のカイロの学校よりはるかにレベルの低いカイロのコースを取った方たちがカイロの看板を上げることです。やがて大量の卒業生を輩出する柔整の業界も飽和状態を迎えることになります。そこで彼らの目には自由診療のカイロが魅力的に映るはずです。そのとき、どれだけの人がしっかりとしたカイロ学校へ行って学ぼうと思ってくれるかです。

法制化されていない悲しさで、専門の大学を出なければカイロプラクターになれないというわけではないのです。多くの柔整の方たちがカイロを行うというこの流れを止めることはできません。カイロ学校も生き残りをかけて、柔整の有資格者対象のプログラムに力を入れていくことでしょう。そこで大切なのは、カイロをやるからには情熱を持ってやってもらうということでしょう。

いくら国際基準を取るように叫んでも、さらに何年も学校へ行く人は稀ということです。これでは4年制の学校が生徒獲得に苦戦するのはしかたのないことです。私もできれば日本のカイロプラクター全員が国際基準を満たすようになってほしいのですが、法制化がなされる日までそれは無理でしょう。何か大きな波がやってきて、業界が一枚岩にならなければ大きな変革はできません。

ところが今、その波が訪れているのを感じているのは私だけでしょうか? いや、たぶん皆さんも感じておられることでしょう! そうです、その波とは東京オリンピックのことです。アメリカをはじめ多くの国では、オリンピック選手のサポートにカイロプラクターがついています。優秀な選手は専属のカイロプラクターさえ帯同しています。カイロプラクターはカイロを提供しなければなりません。オリンピック選手のメディカルスタッフには、アスレチックトレーナーやマッサージセラピストもいます。そんな中でカイロプラクターはアジャストをすることが仕事になります。さらにアスリートの治療には、四肢のアジャストメントが非常に大切になってきます。私がオリンピック陸上の選手をケアした経験から、四肢の治療に強いカイロプラクターは活躍の機会が圧倒的に増えます。しかし肝心なことは、やはりアスリートの背骨のサブラクセーションをアジャストし、神経の流れを整えてアスリートの体からエネルギーがほとばしるようにすることなのです。

目標は国際基準到達

アメリカでは当たり前のこととなっているカイロプラクターによるオリンピック選手のサポートも、そこまでこぎ着けるには大きな努力と苦労があったはずです。カイロ後進国の日本では、さらなる努力を必要とします。そのためには自分たちの知識や技術を国際基準レベルに引き上げる必要があります。今のようにカイロの学校の存続さえ危うい状態では優秀なカイロプラクターが育ってくる確率はどんどん下がってしまいます。

今、日本のカイロ界のマジョリティーを占める国際基準を持たないカイロプラクターの中から、ひとりでも多く国際基準に引き上げることのできる、現実的な教育プログラムの構築が必要になってくるのではないでしょうか。JACやTCCが勇気を持ってやってくれれば、そのようなプログラムが盛況となり、業界ももっと元気になり魅力的になるのではないでしょうか。最初は少しレベルが低めになるかもしれませんが、柔整に負けないような勢いをつけて少しずつさらなるレベルアップをしていけばいいと思います。アメリカのカイロ界がそうであったように、年月をかけレベルアップし成熟させていくことを考えないと、いきなり高すぎるハードルを設けても環境が整っていなければ上手くいかないでしょう。

元気のある業界、バランス感覚のある倫理的なカイロプラクター、国際基準に準ずるレベルに多くの仲間を引き上げる教育プログラムが揃ったときに、この大きな波に乗って日本でのカイロの普及を果たすことができるのではないでしょうか。多くの日本のカイロプラクターが、より大きな目的を持って日常のレベルからさらに脱皮していく覚悟を持ってくれれば、5カ年計画をもって業界を発展させれば、われわれの業界は皆さんが想像するよりはるかに大きな成長と国民からの認知を受けることでしょう。

JACにその決意と覚悟があることを願っています。そして、JACが本気で国民のことを考えて大きな心とビジョンで業界を大きく発展させる決断をし行動を起こすのなら、カイロ界が一丸となって迷わずそれをサポートしていかなければならないと思います。7年はアッという間に過ぎていきます。一刻も早く業界全体の意識を高め、行動に移していくことができればいいですね。私も少しでもお役に立てることができればと願っています。目指しませんか、東京オリンピック!!

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