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カイロジャーナル62号

62号(08.7.14発行)
徒手医学会学術大会「記念の第10回」東京で10月に開催
パーカーセミナークラブ・ジャパン発足
来日6度目 バラルDOに聞く
日理工・新会長に甲斐新一氏

徒手医学会学術大会
「記念の第10回」東京で10月に開催毎年行われる日本カイロプラクティック徒手医学会(JSCC、中川貴雄会長)は今年で設立9周年、学術大会は節目の10回目を迎える。今回のテーマは「ケアの本質――徒手医学からのアプローチ」で、技術だけではなく、患者ケアを総合的に考えることに焦点を当てる。節目の10回の試みとして、ウェブサイトでの詳しい案内と申し込みを充実させ、新たな会員と参加者の増強を図っている。より広くケアとらえる
臨床上役立つ企画に期待特別講演は徳島大学教授の武田英二氏が「食・栄養とストレス制御」について講演する。ストレス軽減に対する栄養の役割に関しての知識は、臨床上大いに役立つことだろう。今回は5年ぶりにパネルディスカッションが行われる。それぞれの治療者がケアに対する考えや理想のケアについて意見を述べ、そこから会場も含めて意見交換を行うという企画である。各治療家の臨床哲学を掘り下げるきっかけとなる議論が期待される。今大会から、JSCCのウェブサイトからオンライン申し込みができるようになった。また、今回の学術大会の内容、これまでの学術大会の記録、学会誌の目次などを掲載し、初めて訪れる人にも興味を持ってもらえる構成になっている。今後さらに多くの人々に見てもらえるよう充実を図り、会員増加にも繋がっていくことが期待される。JSCCのウェブサイト=http://www.jsccnet.org/index.html

パーカーセミナークラブ・ジャパン発足
私たちの夢の続き
希望あふれるカイロ界へ昨年、一昨年と開催されたパーカーセミナージャパンの夢は、Drジム・パーカーの精神を受け継ぎ、混沌・分裂した日本のカイロ界のすべてのカイロプラクターが一つの場所で、互いの組織・団体の壁を越え、患者をより健康にできる成功体験を学び、そのプロフェッションとしての向上を誓い、その情熱を共有できる場所を築くことでした。その夢の途中に、今年の開催を見送る、という連絡が私たち関係者の元に届きました。ジャパンの夢は私たちの夢と希望であり、それは代表であるDrデニース・ペローンのビジョンでした。日本のカイロ界に、カイロプラクターなら誰でも集まれる「一つの場所」を提供するため、また、ほんの一握りのカイロプラクターしか「成功」していない日本の現状を見るにつけ、カイロプラクターなら誰でも修得し応用できるシステム、方法を臨床に生かし、一人でも多くのカイロプクターが成功し素晴らしい人生を歩むことが、この日本のカイロ界の発展の近道である、と確信していたDrペローン。カナダ人でモントリオールに住む彼女が、ここまで日本のカイロ界のために、モントリオールと日本を何度も何度も往復した6年の歳月。やっと芽を出したジャパンは、つぼみになる前に成長を止めてしまいました。私たち日本人カイロプラクターは、一体何をしているのだろうか? 私たちは与えられていると勘違いしていたのではないのか?今、このカイロ界の現状を変えるために一番危機感を持って奔走しなければならないのは、ここ日本にいる私たち日本人カイロプラクターではないのか!開催見送りの連絡を受け取った後、私たちは有志を募って東京で会合を開きました。皆が一同に、このままではDrペローンに申し訳ないし、もっと申し訳なくて情けないのは、われわれカイロプラクターと日本のカイロ界だ! ここでジャパンの火を消したら一生後悔する。私たちは、なんとかジャパンを継続する方法を模索しました。その結果、パーカーセミナーの公認とサポートを得て、「パーカーセミナークラブ・ジャパン」という、新しい組織を立ち上げることに成功しました。パーカーセミナーの理念に基づいた考えと情報を伝えるセミナー、クラブ・ジャパン2008を開催します。クラブ・ジャパン2008を開催することが日本のカイロ界にどのような影響、効果をもたらすのでしょうか? もちろん本場ラスベガスのものとは、何から何までが違いすぎて比較のしようもありません。取り巻く環境も、社会的に認められたアメリカと日本では雲泥の差。文化や人種、生活様式も宗教も、国が違えばほとんどすべてが違うと言っても過言ではありません。しかし、過去2回のジャパンのスピーカーから伝えられた内容は、私たちカイロ後進国、日本のすべてのカイロプラクターにとって新鮮で学ぶべきものがたくさんあったはずです。そして、カイロで成功して一人でも多くのカイロプラクターが幸せな生活を送り、自分の職業に誇りを持ち、希望に溢れたカイロ界を築くことができるように、私たちはもっとパーカーセミナーから学ぶべきではないでしょうか?地元モントリオールではフランス語を母国語として生活し、オフィスを経営するDrペローンは、パーカーセミナーで学んだことをそのままマネするのではなく、カナダの文化に適応させながらオフィス・スタッフと一緒にチームとして、患者の健康を牽引するように変革した結果、オフィスは著しい成長を遂げたと語ります。アメリカとカナダ、一見似ているようで全く違うカイロ事情でも、パーカー原理やセミナーから得た情報で成功した先駆者が語っています。私たち日本人も、われわれの文化や生活様式に合わせて、それらを適応、応用すべきではないでしょうか! それは、われわれ日本人が一番得意な特質であることを私たちが一番知っているはずです。クラブ・ジャパン2008は100人の参加者が収容できる場所で、スピーカーと参加者の距離の近い、実行委員による手づくりのセミナーを展開します。今回はスピーチだけではなく、ワークショップ形式で、実際にあるオフィスの日常を参加者と一緒にデモンストレーションして分析、アドバイス、改善をしていきます。またラスベガスの映像も余すところなく披露します。クラブ・ジャパン2008に参加すれば、ラスベガスの本場の雰囲気を体験したくなること、間違いなし。さらに、参加者には抽選によりクラブから豪華なプレゼントがあります。お楽しみに!クラブ・ジャパン2008は、私たちカイロプラクターが、カイロで人々を健康へ導くことでカイロプラクターとして成功を収め、組織・団体・学校の壁を越えたすべてのカイロプラクターが、一緒に一つの場所に集まることができるセミナーを提供します。あなたの人生を変える2日間をお見逃しなく!(小野弘志DC)
パーカーセミナークラブ・ジャパン協力者(50音順)
阿部 郁子DC
上村 高史DC
小野 弘志DC
塩川 貴士DC
塩川 雅士DC
竹谷内 康修MD,DC
但木 澄子DC

来日6度目 バラルDOに聞く
自由を大切にする生活
セミナー受講者は成長5月に来日し、セミナーを行ったジャン・ピエール・バラルDOにお話を伺った。今回のセミナーのこと――バラル先生は1990年の初来日以来、今回で6度目の来日となったわけですが、その初期の頃からずっと先生のセミナーに来られている方もいます。その方たちは上手くレベルアップできているでしょうか?来るたびにとてもレベルアップしています。私は人の名前を覚えるのは苦手ですが、身体のことに関しては非常によく憶えていることができます。患者に対しての立ち方、手を置く位置などを見るだけでも、より正確に触診できるようになっているのがわかります。非常に大きな変化です。――効果的に練習する方法をアドバイスいただけますか? 自分自身の身体を使うのはどうでしょうか?まず家族や同僚に練習させてもらうことです。また職場でも練習できるでしょう。私はかつて病院で働いていました。病院には様々な患者さんがいたので、数多くの貴重な経験をすることができました。自分の身体で上手く機能していないところがあるとき、痛い神経を触ってみるなどすれば、確かに触診力は進歩するでしょうね。感性を磨く上では役に立つと思います。私自身は、自分自身のことが好きで、好きで堪らないという人間ではないし、自分よりも人を大切にという教育環境で育ったので、自分の治療をするということはありませんが。クリニックについて――現在クリニックでの治療はどのぐらい行っているのですか?週に4日で、最低でも100人の患者を診ています。予約制で新患は6~8カ月待ちの状態で、ほとんどが慢性病の問題です。最初は急性の患者も診ていたのですが、名前が知られるようになるにつれ、難しい患者が多くなりました。私の住むグルノーブルは人口約40万人の街で、オステオパスが120人ほどいますが、簡単なケースで私のところに来る人はほとんどいません。難しい患者しか来ないので大変ですけど、それに見合うだけの興味深い仕事ができます。私は多くても一人の患者を4、5回しか診ません。ですから来る人は新しい人ばかりで、これまでに10万人ぐらいの人を診ています。――ずっと先生の治療を受けたいという人はいませんか?よく言われますけど、そういうときは「若い優秀な人がいますから、そちらに行ってください」と言います。それでも納得せず「とにかく待ってますから」とパリから来た人に言われましたが、「あなたにはこの待合室で待つ権利はない」と言って断りました。――世界中から患者さんが来るそうですね。はい。私は治療が速いので、一人に25分しかかかりません。にもかかわらず、カナダから来た人は1時間のアポイントを取りたいと言ってきました。そういう場合は、後半の30分は話をして、それで倍の料金をいただきます。教育について――フランスでは学校で教えているのですか?現在は学校ではなく、卒後教育としてのコースを教えています。以前はカレッジに属していましたが、今は辞めてフリーで行っています。控えめな言い方ではないかもしれませんが、私は創始者なのです。創始者は自由でなくてはいけません。どこかに属すると、経営や義理のためのしがらみがあるのがいやなのです。――弟子になりたいという人が来ませんか?私と一緒に仕事をやりたいと月に10人ぐらいは言ってきますけど。後ろからぞろぞろついてくる、というようなのは好きではないし、グルにはなりたくないですね。同僚はいます。経済的にも独立して、それぞれが患者を取るという方式で、3人の同僚がクリニックで働いています。――どういう人を同僚に選ぶのですか?フィーリングですね。受け入れないという理由はいくらでもありますから。若い人は経験を積んだ人ほど成果は出せません。しかし可能性を感じることができます。一緒にやってもの凄く進歩しています。――アメリカのバラル・インスティチュートではどのような活動をされているのですか?あれはアメリカ人に「あなたの名前を使いたい」と言われて始まったものです。アメリカではあまり本来のオステオパシーが行われていないので、アプレジャーDOなどがオステオパス、カイロプラクター、理学療法士、マッサージ・セラピスト、助産師などの教育に力を入れてきました。私もそこで教えていたのですが、数年前にフロリダにそのインスティチュートができました。私は経営が得意ではありませんのでやりませんが、教育の責任者としてアドバイスしています。内臓、動脈、神経、靱帯、関節のマニピュレーションの新しいプログラムを作成しています。アメリカの先生たちと一緒に、アラン・クロアビエ先生もそこで教えています。ライフスタイルについて――先生のご趣味は?読書と映画が好きです。今は考古学的なこと、人間の祖先がどう進化してきたかなどに興味があります。それから自転車に乗ることとウォーキング。私の住んでいるグルノーブルはアルプスの麓にあり、街から出るとすぐ大自然が広がる美しい地域です。散歩するときの自然の香りや疲労感が好きです。頭がいっぱいになると身体を動かすようにしています。――バカンスには行かれますか?夏に行きます。去年はバハマで、今年はコロラド辺りに行こうかと思っています。バカンスになると考えることは止めて完全に休みモード。戻ったらまた仕事をします。――現在の生活スタイルをこれからも続けていかれるのですか?これからは患者の数を少し減らしていきたいと思っています。世界のいろいろな国から、教えに来てほしいという要望が増えているので、それにもっと応えていきたいと思っています。――先生は一生現役主義でしょうか?私は人生哲学や主義というのは一切持っていません。ただ確かに感じるのは、行動するために生まれてきた人間だということです。だから行動することを止めたら危険でしょう。私の母は整骨師で、人を治すことができる人でした。母はずっと前に亡くなっていますが、母が私を保護してくれていると感じます。私がその価値のあることをしていれば保護してくれるでしょうし、価値のないことをしていれば、その保護もなくなるでしょう。私は幸せというほどでもないし、不幸でもありません。ですからまだ、よりよくできるのではないかと思っています。まだ完璧ではない、幸せではないけれども、まだまだやるべきことはあると思っています。私の中で一番大切な概念は自由です。自由があまりない国でセミナーをやったことがありますが、どうもしっくりいかない感じでした。創造的であるためには自由であることが大切です。――本日はありがとうございました。来年もぜひ日本に教えにいらしてください。
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日理工・新会長に甲斐新一氏
日本理学療法器材工業会(略称=日理工、事務局=東京・文京区本郷)は、理学療法機器、並びに器材に関する優れた商品の提供、適正使用に関する情報、流通の適正化等を図ることにより、理学療法機器、器材産業の健全な発展と、国民の健康増進に寄与し、もって国民福祉の向上に貢献する、を目的に昭和54年5月に発足し、今年30周年を迎えた。5月に行われた通常総会の席上、役員改選が行われ、タカチホメディカル・甲斐新一社長が新しい会長に選出された。本紙のインタビューに答え、甲斐新会長は「創立30周年を迎え、世代交代と共に変革期の時でもあります。業界の環境は大変厳しい状況が続いておりますが、新しい時代に沿って、改正薬事法を遵守し、高品質・安全性を有する医療機器と確かな情報を、治療家の皆様に、会員と共に提供したいと考えております」と抱負を語った。

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