《第24回》大きなもののためにカイロプラクティックジャーナル

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岡井健DCのI Love Chiropractic ! 《第24回》大きなもののために2013.02.20

改革はまず日本の基準構築から
カイロジャーナル76号 (2013.02.20発行)より

今年もすでにひと月以上が経過しましたが、皆様いかがお過ごしでしょうか? 新年には多くの方が今年の抱負なるものを掲げますが、2月に入るころにはすでに綺麗サッパリ忘れ去っている方が大多数ではないでしょうか?

私はここ8年ほど毎週欠かさず「今週のトピック」というメッセージを仲間に向かって発信しています。最初は本当に近しい仲間10人ぐらいから始め、セミナーなど事あるごとに紹介し、さらに仲間たちからの紹介で、現在では200人を越える人たちがメッセージを受け取ってくれています。誰でも簡単な自己紹介とともにリクエストしてくだされば、メールが届くという手軽さも手伝ってここまで増えてきたのでしょう。昨年の最後のメッセージで、今回の表題と同じような私の新年の抱負を書いて発信させていただきました。その抱負は実は私自身のためだけでなく、カイロ界の皆さんに対し期待するところでもあったのです。

そのメッセージには、大きなものに向かって進んでいきたい、ということを書きました。大きなビジョンを持ち自分のためだけではない、大きな目標のためにできることをしたいということです。この世の中は個人の集合体でできています。個人はそれぞれの考えを持って、誰もが自分は正しいと思って生きているものです。そして困ったことに、多くの人が自分と違う考えの人を受け入れられないどころか、攻撃すらし始めます。または自分自身のことのみに一生懸命で、世の中のために何かをする余裕がない人や、他人や世の中の流れや意見に無頓着な人もいます。なかには自分さえ良ければ、他の人なんかどうでもいいという極端な人もいます。

いでよ!情熱家

皆さんが、なぜカイロプラクターになったのか、いくつかの理由があると思います。人の役に立てる仕事だから、人に感謝される仕事だから、人を幸せにできるから、という方が多数いらっしゃると思います。日々患者と向き合い、精一杯の治療をすることこそ使命だと頑張っておられることでしょう。それと同時に、カイロを知らずに薬漬けになったり、苦しみ続けている人のためにも、カイロができることを世の中に知ってもらう努力もしていかなければならないはずです。

わかってくれる人だけを対象にすれば、精神的にも楽ですし楽しいことも多いでしょう。わからない人、疑心暗鬼になっている人たちに新しい考えや、出会ったことのないものをわかってもらうことは大変なことです。でも、本当に大きな意味でカイロで多くの人に幸せになってもらおうと思ったとき、今の業界には大きな改革が必要です。改革に必要な新しい大きなうねりを生むためには、その大切さを、突っ走りながら唾を吐き出しながら、人々に訴える情熱家の存在が必要なのです。

私はカイロ界の人たちに是非情熱家になっていただきたいと思っています。自分に都合の良い情熱家ではなく、大きな目的のために情熱を燃やしてほしいと思います。自己利益や自分のエゴのためでなく、人々の幸せとカイロ界の発展のため、とびっきり素敵な情熱家になっていただきたいのです。カイロ教育に携わっている方々には、その責任の重さを認識していただき、情熱とプライドを持ってただの金儲けではなく、本当の意味で業界が繁栄していくための人材を育てることを目指していただきたいと願います。そうすることが結局は自分たちも栄えることになると確信しています。

セミナーやテクニックを教授する者は、その相手がそれを伝えるに相応しい知識や行動力を持っているかを考えなければならないと思います。いくら情熱を傾けて教えても、それを受け止める側にそれを真摯に学ぶ情熱がなければ、意味がないどころか危険です。JACが言うように国際基準を持った者だけを対象にするというのは、現時点では無理があるものの考え自体は間違ってないし、将来的には一定の基準を持った人以外はカイロを行ってはならないというのは大賛成です。

今のままでいいのか

しかし、現時点で国際基準が日本の基準というのは性急過ぎると思っています。物事には適正な成長スピードがあると思っています。無理に急げば必ず将来その歪が現れます。大切なのは、日本にいる多くの国際基準を満たしていないカイロプラクターの中から、本物の情熱を持って努力していく覚悟のある人たちに対し、日本基準を与えるシステムの構築が必要であり、その上に国際基準が来るのが妥当だと真剣に思っています。

日本基準ができ上がれば、それを満たすことのできない覚悟のない人たちは、カイロプラクターを名乗ることも、カイロや類似行為を行うことも一切できないようにするべきだと思います。業界全体が大きな目標を持って頑張ることができなければ、いつまで経っても日本のカイロは世間から見れば、中国の秘境から伝わってきた怪しげな民間療法という認識を変えることなど到底無理でしょう。それを嘆いたところで、皆さんが大きなものに向かって努力できないのなら仕方のないことなのです。

いくら皆さんが自分のホームページ等で、カイロはアメリカでは法制化されたれっきとした医療だと謳おうが、日本では法制化されていない無資格の医療で、正規の教育を受けていない人が行う民間医療だと言われれば反論の余地がないのです。私はそれが死ぬほど歯痒いのです。日本で国際基準を持たないカイロプラクターの方は、どんなに情熱を持って頑張っても、今のままでは世間から怪しげな民間療法士と同じように見られてしまうのです。

そういった当の先生たちからは、資格や法制化などは自分たちには関係ない話だと、考えもしなかったという声をよく聞きます。自分には自分を信頼してくれる顧客がいてくれるから、その人たちのために一生懸命頑張ればいいんだとおっしゃいます。確かにそれはそうでしょう。だけど「それだけでいいんですか?」と私は訊ねずにはいられません。

あなたは真剣に、一生懸命頑張って多くの方の役に立っているカイロプラクターかもしれませんが、短期のカリキュラムを大した勉強もせず終了し、ろくな知識も、技術も、倫理観も、プライドもない人が大勢カイロを行っていることをどう思うのですか? その人たちがカイロと呼んで行っている行為は、科学も、哲学も、アートのかけらもないカイロとはほど遠いものであることは、皆さんが一番よくご存知だと思います。

次世代のために奮起

自分や自分の仲間だけが良ければそれでいい、というレベルからいい加減脱却しなければならないと思います。次世代の、これからの若者のために、そして皆さんの子どもたちのために、カイロを日本でしっかり確立していかなければならないと思うのです。今のままでいいと思っている人たちは自分のことしか考えていないのです。次世代にとって少しでも良い環境を整えて上げたいと思ったら、今私たちが頑張らなければならないのではないでしょうか!

カイロはカイロプラクターが行うものであり、他の療法士がカイロもできれば患者が喜ぶだろうとか、顧客が増えるだろうという考えで安易に手を出すものではありません。カイロを一生の生業として情熱を持って、カイロプラクターとして生きていく覚悟のある方のみカイロプラクターなのです。実に当たり前の話なのです。鍼灸師は鍼灸師であり、柔道整復師は柔道整復師であり、整体師は整体師であり、どんな立派な先生であろうとカイロプラクターではないのです。まずは、自らがアイデンティティーの確立と自主規制をしていく意識を高めていかなければなりません。これまでそんなことを考えたことがなかったという人たちが大勢いると思います。是非これを機会に、皆さんにカイロ全体のことを真剣に考えて、何をすべきかを行動で示していただきたいと願っています。

今年の大河ドラマでの佐久間象山の言葉が胸に突き刺さりました。「何かを始めようとすると何もしない奴らが必ず邪魔をする。蹴散らして前に進め!」。口先だけの情熱ではなく、まずは自らが苦しくても勉強して知識を高め、練習して技術を高め、己を律して倫理観を高め、大きなもののために行動を起こし、本物の情熱を持ってカイロを次世代のために確立していかなければならないのです。誰かがやってくれるという他人事ではないのです。自分には関係ないと思っているそこのあなたこそが、情熱と行動力で日本のカイロを変えていくのです。

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