いい姿勢でいこう 第4回2015.08.04
第4回
カイロジャーナル64号(2009.3.18発行)より
この連載も2年目に突入です。今までの連載を通して姿勢の大切さを伝えてきましたが、今回は人に姿勢を指導する上で、どのような知識や技術を身に付ける必要があるのか、私なりの考えを解説したいと思います。ここに挙げていることは、私の姿勢教育の現場における試行錯誤の中で生まれてきました。言葉だけではイメージしにくい部分があると思いますが、大学での授業や姿勢教育塾を通してたどり着いた現在におけるベストの方法論です。
それでは解説していきます。
●姿勢改善の必要性を腹の底から理解してもらうこと
これが姿勢の指導をする上での「土台」となる最も大切な部分です。この「腹の底からの理解」なしに先に進んでも、柔らかい土台の上に建物を建てるようなもので、まず失敗します。逆にこの部分がしっかり理解されていればいるほど、姿勢改善のスピードを早めることができます。
具体的に何を理解してもらうかというと、「実際に姿勢を取るのは自分である(他力本願ではダメ)ということ」、「そもそも悪い姿勢はどうしていけないのか(健康への悪影響)」、「姿勢と背骨と神経の関係」、「姿勢が原因となる『肩こり・腰痛』のメカニズム」、「健康のとらえ方」などです。これらのことを「わかりやすく伝える能力」も身に付ける必要があります。
●姿勢を分析できる能力
人の姿勢が分析できないと、どこをどのように直していったらいいのか指導できません。そこで姿勢の分析ができるように練習します。パートナーを交代しながらチェックし合うのですが、ポイントがわかると短時間でできるようになります。
●自分の姿勢を知ること
残念ながら鏡などを見ない限り自分の姿勢はわかりません。そこで写真を撮って本人に見せるのです。このとき、あえて「だらしない姿勢」を取ってもらいます。だらしない姿勢が「その人の普段の姿勢」だからです。これで「自分は普段ひどい姿勢を取っている」ということに気付き、「他人事ではない」という認識になるのです。医師がレントゲンの写真を使って説明するのに似ていますが、姿勢が原因となっている症状であれば、レントゲンよりもよほど説得力を持つ資料になります。「百聞は一見にしかず」なのです。正しい撮影方法や撮った写真の加工・分析の仕方、理想的な姿勢との比較方法などを習得すると、さらに応用が利くようになります。
●自分の姿勢習慣を知ること
姿勢習慣をアンケート形式で答えてもらうことで、その人の問題点があぶり出されます。
●止めるべき(注意すべき)姿勢習慣を説明する
先ほどのアンケートを基に、その人が普段取っている姿勢のどこに問題があるか解説し、止めるべき習慣を認識してもらいます。例えば、横座りをすると背骨がどのような状態になってしまうのか、実演したり写真や模型を使って説明するのです。
●実践すべきことを指導する
問題のある姿勢習慣を止めてもらったら、次に改善のための具体的方法を指導します。それは「理想的な姿勢=体に負担の少ない姿勢」を取りやすくするためです。「猫背を伸ばすストレッチ」、「デスクワークやパソコンを使うときの姿勢の注意点(椅子や机、キーボード、マウス、モニターの位置をどのように調整したら良いのか)」、「楽に良い姿勢を保つコツ」、「枕の高さ」などです。これらの正確なやり方を身に付けることで、自信を持って指導ができるようになります。
以上、私が考える人の姿勢を指導する上で必要な知識や技術について解説しました。これらの内容は実際に姿勢教育の現場で磨かれてきたものです。これからも姿勢の指導を必要としている大勢の方のために、姿勢教育塾がお役に立てると信じています。興味のある方は是非「姿勢教育指導士」を目指してください。
一緒に盛り上げていきましょう。
- 碓田 拓磨D.C.(うすだ たくま)
- 1967年 長野県生まれ
1992年3月 早稲田大学社会科学部卒業
1992年4月 (株)リクルート入社
2001年3月 米国アイオワ州パーマーカイロプラクティック大学卒業
2002年2月 虎ノ門カイロプラクティック院開業
2005年4月 早稲田大学オープンカレッジ「姿勢と健康」講師
2010年 一般社団法人日本姿勢教育協会理事
「健康な人はなぜ姿勢がいいのか」(主婦の友社)
「即効1分間キャットレッチ 肩こり・腰痛 こんなにラクになるなんて(青春出版)
テレビ出演
となりの子育て(NHK教育)
世界一受けたい授業(日本テレビ)
ホンマでっか!?TV(フジテレビ)
あさイチ(NHK)
はなまるマーケット(TBSテレビ)
首都圏ネットワーク(NHK)
あげるテレビ(フジテレビ)