リオ五輪に公式派遣 4年後東京で開花期待
日本人治療家4氏大抜擢 選手村でケア担当!
カイロジャーナル87号 (2016.10.15発行)より
日本人の派遣は、オリンピックにカイロプラクター1人、パラリンピックにカイロプラクター1人、オステオパス2人だった。オリンピックへの派遣は、
- 後藤雅博(北海道帯広市・DC)で、
後半の8月15~25日まで選手村の総合クリニックに配属された。
パラリンピックには、同じ総合クリニックにカイロプラクターの
- 伊佐和敏(千葉県浦安市・DC)、
オステオパスの
- 佐藤鉄也(東京都文京区・MROJ(注1))、
- 平塚佳輝(東京都立川市・BSO(注2)/MROJ)
が派遣された。
総合クリニックとは
総合クリニックは、特に自前でケア・スタッフを帯同させる余裕のない途上国の選手にとって、治療やコンディショニングのケアを受けられる大切な場である。すべての参加国の選手と関係者が利用でき、欧米選手の利用も多かった。
リオ五輪では、ロンドン五輪で採用された他分野医療チームでのケア「COPS方式」が採用された。COPSとは、カイロプラクティック(C)、オステオパシー(O)、理学療法(P)、スポーツマッサージ(S)の頭文字を取ったもので、この4分野がチーム医療を展開する。実際には、理学療法士の数が多く、医師が指定する場合には知識がないこともあって理学療法に患者を回すことが多かったようだが、チーム内で最も適する治療者に患者を回すなどの協力が為された。連携するでお互いの専門職への理解が深まるなど、プラスの波及効果もあったようだ。
すべてボランティア
公式派遣とはいえ、渡航費や滞在費に公的な補助はなく、全額本人が負担しなければならない。カイロ界の場合は、国際スポーツカイロプラクティック連盟(FICS)が宿泊先を確保し、割安で利用できる便宜を図った。カイロジャーナルは、二人の日本人カイロプラクターを支援するため、8~10月までの期間で寄付を募っている。彼らの活躍を今後のカイロ発展につなげていくためにも、立場を超えてのご支援を願います。
オステ界では、日本オステオパシースポーツケア協会(OSCAJ)が2015年に結成され、スポーツケアに関する情報発信、教育推進を行い、さらに活動のサポートシステム構築を目指している。今回のリオ派遣に対しては、日本オステオパシー学会およびジャパン・カレッジ・オブ・オステオパシー有志による寄付が寄せられた。
将来に向けて
日本に公的な免許・資格制度がない2業種の治療家が、五輪に公式派遣された。歴史的快挙、画期的出来事である。これを東京五輪につなげていくために何が必要なのか。
リオ派遣で主に要求されたことは、スポーツ現場および一般的な臨床経験、語学力、学歴だった。カイロの場合は、国際標準資格(カイロ学位とスポーツカイロ資格)を持っていることが必須だった。オステには同様の資格はなく、日本オステオパシー連合(JOF)の認定であるMROJが認められた。
東京五輪でも同様の基準が認められるためには、関係者の説得のみならず、スポーツ現場での実績をさらに積み上げ、カイロ、オステの有用性を広く理解してもらうことが大切であろう。
注1 MROJ=Member of Registered Osteopaths (Japan) JOFの認定資格。商標登録されている。
注2 BSO=BSc(Hons)Ost. オステオパシー理学士。