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痛み学NOTE <第34回>筋の攣縮は痛みの悪循環の基になりやすい2013.03.20

カイロジャーナル76号 (2013.02.20発行)より

筋肉の緊張による痛みは、多くの人が経験していることだろう。ありふれた痛みである。筋緊張がさらに高まると攣縮(spasm)となる。侵害受容性疼痛には必ずつきまとう現象である。その仕組みは次のように説明できる。

侵害受容性疼痛には2つのルートがあって、一つは筋肉とその他の組織の傷害や病変によって脊髄反射性の攣縮が起こるルートである。もう一つは、脳の不安情動系が心理的・情動的緊張や持続的ストレスによって作動し、交感神経が緊張する。あるいは副腎が刺激されることで血管が収縮する。いずれもが細動脈の収縮に関与している。これにより、筋肉組織の虚血状態となって酸欠がもたらされる。酸欠は筋組織の危機状態である。そこで攣縮が起こる。攣縮がさらに血流を阻害する。

こうした筋組織の変化は、必ずしも明らかな損傷だけによるものではない。さまざまな要因で起こり得る。心理・情動的な問題から修飾された痛みのルートもあれば、筋のオーバーユースでも起こる。または、外部環境の変化、例えば冷気などにも反応するだろう。

これらが脊髄への求心性入力の異常な増加となり、脊髄反射が遠心性の異常なインパルスとなって、筋の過緊張がつくられることになる。この痛みとスパズムのメカニズムは「悪循環パターン」をつくりやすく、このサイクルには持続性がある。したがって、この悪循環パターンを断ち切るためには、どうしても外部からの介入が必要とされるのである。

こうした虚血性の攣縮をリリースすることで、何がもたらされるのだろう。まずは、局所の血管が拡張される。さらに疲労物質や痛み物質などの排泄を促進することが出来る。次に、エンドルフィンが放出されて鎮痛機序が働きだす。また、筋の過緊張がもたらす異常な反射を抑制することができる。そして、筋のトーンが正常に回復し筋機能が正常に作用する。代償性の姿勢変化を改善することも可能だろう。まだある。体性―内臓反射を正常化できるし、関連痛をも軽減できる。

カイロプイラクターは、とかく患者の症状を脊椎や関節のミスアライメントに根拠を求めるが、それは筋の異常な過緊張に先立つものではない。こうした後発性の影響を考えると、筋の攣縮には早めに手を打つ必要がありそうだ。


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