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ケリー・メソッドの「キモ(肝)」は何と言っても、一に「評価」、二に「評価」、三、四がなくて、五に「評価」です。患者さんの状態を詳細に調べ、治療に必要な情報を収集する。その評価に基づいて治療をし、再評価する。患者さんは様々な症状を持ってやって来ます。もちろん、患者さんの訴える内容は大事です。しかしながら、それに流されてしまっては、良い治療ができません。患者さんの訴える部位を治療して、上手くいくこともあるでしょう。しかし、上手くいかないこともあります。ケリー・メソッドの評価は、患者さんの訴えにやみくもに迎合することもなく、治療者、患者さんがともに納得する治療を可能にするものです。
PRTにおいては、スキャニング評価という方法があり、それを用いることにより治療計画を立てることができます。また目で見てすぐに理解できるように作られていますので、患者教育にも使えますし、治療者、患者双方が情報を共有することでお互いに納得がいく治療ができます。
具体的なセミナー内容は、スキャニング評価を基にして、PRTを行い、再度スキャニング評価をすることにより、評価の検証を行います。取りこぼしがないようにスキャニング評価を活用します。
使用する教科書は『PRT(ポジショナル・リリース・セラピー)-筋骨格系機能障害の評価と治療-』(科学新聞社 刊)です。
日本の伝統的教授方法に守破離という考えがあります。この意味するところは、最初は型通りに学び、次に型から飛び出して、最後に自分なりの型を確立するということです。これを守破離と言い、古来よりこうした方法で武道や伝統芸能などを伝えてきました。日本のオステオパシーに多大な影響を与えた古賀正秀先生も、「弟子は師の半芸に及ばす」と言い、自分なりのオステオパシーを確立させることの重要性を説いていました。守破離に習えば、離の状態を目指さなければ治療家として大成はできないということです。ケリーのやっている最終形態は、すべて離であります。彼はたくさんのテクニックを学び、それを自分なりに咀嚼して見事に自分のものにしているのです。
ケリーの教え方は型から入り、複雑なものを簡単な形にしてくれることが特徴です。プロトコール通りに従えば、型通り学んで、破って、離れることも可能になります。治療家として必要なのは業界で生き残ることなのです。生きるためには何が必要か? 何が要らないか? 自分なりの型を身につけるにはどうしたらいいのか? それらに対する答えは人それぞれであると思いますが、どちらにしても答えは自分で探さなければならないのです。答えを導き出すにはケリー・メソッドが十分なヒントを与えてくれると思います。私自身がそうであったように。ケリーのように上手な講義ができるわけではありませんが、受講する方々の「離」につながるようなお手伝いができればと思っています。
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